チーム天狼院

神戸に行くと、私はいつもジブリ映画『耳をすませば』を思い出す。《海鈴のアイデア帳》


こんにちは、天狼院書店の山本です。

最近、まったく縁もゆかりもない神戸に、よく行くようになりました。

正直なことを言ってしまいますと、私はそれまで、神戸という地に行ったことがありませんでした。

今は京都に住んでいます。じゃあ、関西生まれなのか、というとそうでもありません。
実は関西にも、京都天狼院ができるのにあたって引っ越してきたばかりです。

「これが、阪急電車かあ……」

名前は聞いたことがあるけれど、はじめて乗ったときは、オシャレさに感動しました。

京都・河原町からゆらり揺られること、1時間くらい。
窓の外の景色を見ながら、向かいます。
いちど大阪・十三で降りて、神戸に向かう電車に乗り換えます。

窓から見える景色が、だんだん神戸のほうに近づいてくると、私は窓の外から目を離せなくなります。

右側を見ると、山あいが連なっていて、緑が青々と茂っています。
向こう側が高くなっていて視界が開けているので、電車の中でも、遠くまで見渡すことができます。
住宅街に沿って伸びる道が、ずっと先まで見えるようになっているのです。

その風景を見ながら、私はあることを思い出すのです。

気のせいかな?
……いや、そうじゃない。

なんだかすごくいい気持ちになってきます。
そして、頭の中にはあの曲が流れ出します。

きっと神戸の人にはおなじみの、なんでもない街並み。

ですが、私にとって、宝石のような輝きをもって見えるのです。

これまで見てきた土地のどこにもない、ある感情が湧き上がってくるのです。

私が生まれ育ったのは、東北。大学からは東京で生活しました。
在学中1年間アメリカに行ったのち、東京に戻りましたが昨年は福岡にも移り住み、そして今、京都に住んでいます。

しかし神戸に行ったときに湧き上がってくる感情は、どの場所にいたときとも違ったものでした。

坂に沿って並び立つ、オシャレな家々。
きっと猫がいろんなところにいて、午後の日差しを浴びてあくびをしているのでしょう。

住宅街を進むと、途中に小さな道があって、そこを曲がると、ひっそりと佇むオシャレな骨董屋が見つけられそう。

高台からは、遠くの街並みまで見下ろすことができて、心地よい風が吹いて。
自転車を引きながら、誰かと並んで歩いて帰る……

そんな風景が、ぶわーっと頭の中に浮かんできたのです。

ああ、これは、あれだ。
まるで、ジブリ映画の『耳をすませば』みたいだなあ、と思うのです。

この街並みをそのまま映画のセットや舞台にしてもいいくらい、心地よい空気が流れているなあと思ったのです。
BGMには、『カントリーロード』を思わず流したくなってしまいそうな。
電車から見える風景が、そのまま、物語になりそうなのです。

目的地は三ノ宮なのに、途中で降りたいと思ったことが何回あったでしょうか。
この場所に降りれば、何か新しい自分が始まりそうなのです。
ここで、何かが起こる。
今までの自分じゃ絶対に出合えなかった、何か。

私はびっくりしたのです。
ここまで、頭の中で勝手に物語が始まってしまう場所が、ほかにあっただろうか、と。
勝手に、ストーリーが組み上がっていくのです。発想が、ぶわーーーっと広がっていくのです。

よくアニメなんかである、街角を曲がったときに出会い頭に誰かとぶつかる感じ。
あんなふうに、予期せぬところで、自分を好転させてくれる何かと出会える場所だと、直感的に感じました。

山があって、海があって。
アクセスが良くって、自然と都市環境のバランスがいい。
港町で、外国からの文化もいち早く入ってくる場所です。
そういえば、映画の発祥の地でもあります。

そんなふうに、いろんな要素があるにもかかわらず、混沌とせず不思議と調和の取れている場所が、神戸なのだと思いました。

きっと、神戸の街は、「物語が始まる街」なのです。

要素がたくさんあるからこそ、新しいものに出合いやすい。
予期せぬ組み合わせによって、見たことのない面白いものが生まれる。

そんな要因がそろっていれば、「物語が始まる」のは偶然ではなく、必然なのです。

ああ、なんていい街なんだろう。

「次は三ノ宮ー、三ノ宮です」

心地よい風景に身を任せていると、気づいたら、いつも目的地に着いています。

正直、これまでまったく縁もゆかりもなかった。
そんな私が、短期間でここまで気に入ってしまった街、神戸。

ここでまた新たに、「神戸天狼院」という物語が始まろうとしています。

今、私はその準備のために、定期的に神戸を訪れています。

本屋だったり「ライティング・ゼミ」だったり「小説家養成ゼミ」だったり写真の講座をやったりする、天狼院。
物語が始まりそうな街・神戸において、まさに物語が生まれ、届いていく場所ができるだなんて、ここの他にふさわしい場所はないのではないかと思うのです。

『耳をすませば』の雫のように、ここに来るとどこまでも発想が広がっていくような、
聖司くんのように、やりたいことにまっすぐになれるようなーーー

三ノ宮の地に降り立つとき、私は頭の中に、そんな場所を思い描いているのです。

 

*いよいよ神戸に「天狼院書店」が上陸! 神戸天狼院、この夏、オープン予定!

オープン前から書店づくりに参加できる「神戸天狼院・編集会議」がございます。
神戸の方に、特に来ていただきたい会です!(インターン生も大募集!)
一緒に「神戸天狼院」の「神戸棚」をつくりましょう!

【5/2(火) 神戸天狼院・編集部】「天狼院書店」が神戸に上陸!次世代型書店「神戸天狼院」の書棚を作ろう!あなたも一緒に「書店づくり」に参加できる!《初参加歓迎/学生インターン生も大募集!》

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
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